北海道は広くて、僕の実家は田舎だったので、周りが本当に広々としていて何もなくて、そこに家がボンと一軒あると。それはそれで快適なのですが、家から外に出た時の―例えば山で遊ぶとか畑で遊ぶとかいう選択肢は確かにたくさんあるのですが、外に出て、遊んで、また家に戻ってくる、みたいな感じでした。東京に居ると、外に出ても、自分のエリアが拡張したような感じがします。例えば、歩いてコーヒーを飲みに行ったりコンビニに買い物に行ったりできますよね。そうすると、自分(のエリア)がもっと拡張していって、家に住んでいるだけでなく、街全体を動き回って住んでいる、みたいな。その感覚が、東京に出てきた当初の僕にはとても嬉しかった。自分が拡張されたような感じ、家というものがもっと広がったような感じがありました。
あとは個人的に割と狭いところが好き、というのもあります(笑)。例えば穴倉のような。子供の頃もダンボール箱の中とか(笑)、ベッドの下とか(笑)、そういうところが非常に落ち着くんですよ。
たまたまそういう(住宅が密集した)ところで、大学を卒業してから、建築家になるまでの時間を過ごしていたこともあって、そういう(体験を)無意識のうちにベースにして、自分の建築観のようなものを、どうやら築き上げてきたようなところがあります。
先程の話に出た、廊下の途中に「くぼみ」のようなものがあっても良いじゃないかという(考え方)も、身体的にとても「それ良いな」と思えたのです。同時に、そこから建築を組み立てていくことが何か新しいのではないかと。まぁ、たまたまなのですが。
自分のやっていることに「やらされている」という感じが全然なくて、とてもリアリティを感じながらできているのは確かですね。 |