これはこの媒体『建築雑誌』(日本建築学会刊)の特性でもあるけれども、書店売りをしていないので(注1)、号によって売れ行きが良いとか悪いとかもないし、どんなに好評であろうと、どんなに悪評であろうと、2年で(編集委員長としての任期が)切れる。会員が読まないのであれば、好きなようにやってもいいって考え方もあるが、3万5千人全員が『建築雑誌』を読むってことはすごく難しい作業です。
今回、最初の号を出して気が付いた事の一つとして、「特集が何であるかすら、見ない人がかなりいるな」ということです。つまりこの特集タイトルは相当インパクトがあるはずなのですけれど、特集が何かということも見ない、つまり本の中身を開かない。開かないどころか送られてきた時の袋を開封しないんですよね。あの袋が微妙に開けにくいというか、簡単に開封出来ればいいのですが、引っ張ってもまだ残るような袋になっていて、実は内容を変えるより先に、ものすごく物理的に、「開けなきゃいけない」、「開いてしまう」、それぐらいの仕掛けがないと実はダメなんじゃないかと、ちょっと思いましたね、内容よりも前に。とにかく「開封しない」というアクションを何とかする、逆にいうと「開けさせる」ですね。それは1月号の反応の話でいえば、そもそも開封しない人がいる、ということに気が付いたのが一つですね。『建築雑誌』を開く前に、あの袋を開封しないで、そのままずっと積まれてしまう。自分もそうですし。
1月号のコメントでは、植田実さんの「読者が全員寄稿者だ」というのは、それはすごく確かにそうだなと。これを読んで、2年の間にやろうと思った企画は、もともと会員の声というか、会員が書いているものですから、植田さんの文章を受けて、どういう形でやるかはわからないですけれども、過去にも何かテーマを決めて、例えば「都市再生」とか、そうやって論文を募ったことはあると思うのですが、そこまでハッキリとテーマを決めずに、もっと本当にエッセイに近いもの、かなり自由に書けるようなもので、出来れば丸々一冊全部それでできないかな、というのはちょっと思っているんですよね。どういう形で募集するかわからないですが、つまり潜在的に書きたい人はいっぱいいるし、研究論文などは他に企業誌だとか媒体が各種用意されているので、ここではむしろ文章をある程度の人が読んで、社会に向けて開いて、面白いものを書ける人、潜在的に建築学会員内にどれくらいいるのだろうと、ちょっと関心もあって。いわゆる『新建築』だとか『10+1』といった建築論系の意匠系のメディアで書いてる人は、だいたいどういう人が何を書けるかということが、ある程度わかるのですが、現実に建築学会員が3万5千人いて、そうではない人が圧倒的に多い訳で、そうではない人の中にも実はけっこう文章を書ける人がいるのではないかと。あるいは書きたい人がいるのではないかと思っています。それをなんとかしたい。逆に言うと他の雑誌媒体でこんなことはできないです、多分。ある意味で(誌面を)全部解放するようなことはできないので、ちょっとやってみようかなと思ったのは、植田さんの「読者全員寄稿者」という文章を読んでです。これはすごく印象に残りましたね。
漫画とかも入ります、そのうち。既に入っているんですけど、漫画が学生向きかというと、よくわからないですが。
人とのインタビューも、比較的若い人と、いわゆる会社の社長−日建設計とか久米設計とか、そういういわゆる大物と若い人との組み合わせ、その二つのパターンでやっています。特に若い人の時は「学生へのメッセージ」と書いてあるので、結構学生が読めると思います。
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