減築住宅地 住宅に孔をあけ、地域へひらく   野上 将央/信州大学

ハウスメーカーによって大量生産された住宅が立ち並ぶ郊外住宅地。1960年代からの高度経済成長期に若年世代の世帯形成やその成長とともに開発され発展してきた。郊外住宅地の住民の大半は核家族であり、主としてサラリーマンと呼ばれる当時の新興職種に従事する世帯で外で働く夫と家事に従事する妻、そして子どもという新しい家族モデルをつくった。その郊外第一世代が現役を引退する頃、第二世代は独り立ちし、郊外から都市へと離れてしまい、住宅地には第一世代しかいなくなりつつあり、世帯員の減少により、住宅規模や維持費などのコスト面での無駄が多くなる。この問題の解決策として、「減築」という手法を用いる。
また、第一世代しかいなくなりつつある住宅地では、高齢者の仲間入りをする時期にさしかかり、より住みやすい住環境や地域でのコミュニティーがさらに重要なものとなる。この問題も解決する「減築」を行うことで郊外住宅の新たな住まい方を提案する。