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最終更新 2008年7月22日
 作品紹介
「十和田市現代美術館」
設計:西沢立衛建築設計事務所

青森県十和田市による設計者選定プロポーザルにおいて、西沢立衛、アトリエ・ワン、乾久美子、藤本壮介、ヨコミゾマコトの若手建築家5氏が指名され、その中から「アート作品のための家」というコンセプトにて設計案を提示し、最優秀を獲得。その美術館がオープン目前にせまった4月、西沢立衛氏にお話を伺いました。

建築家 西沢立衛氏
 [1] 十和田市現代美術館 西沢立衛氏インタビュー
 

十和田市現代美術館について

西沢氏 建物全体を分割して、展示室一つ一つを独立した一軒一軒にし、分散して配置することにしました。
それによって建物の大きさが小さくなって、アート作品の大きさに非常に近づき、全体として建築とアートが混ざるような状態が生まれるのではないかと考えました。
もうひとつは、1部屋1作家というルールにして、作品の性質・大きさ・要望ということにあわせて、部屋の形を決められる。または窓の大きさだとか、室内の仕上げだとか、そういう建築的な諸々を作品によって決めていくということが、こういう分散・独立配置というものにはできるのではないかと思いました。
さらにもうひとつは、バラバラにすると空隙が多くなって非常に見晴らしの良い透明感が生まれて、都市に繋がっていくという感じが出る訳です。作品を展示するだけではなくて、市民が使う、コミュニティーセンター的な側面もありますから、街に繋がっていくという開放的な美術館ということで、そういった形を考えました。

廊下から見える展示は?

西沢氏 部屋と部屋を分けることで、その間に隙間空間が生まれて、そこも屋外の展示室として、積極的に活用していくということで。
実は官庁街通り全体に向いとか斜め向いとかに空き地があり、そこにも美術作品が置かれていたり、イベント広場にしてく予定ですので、この美術館の中にも屋外空間があって、そこに作品が置かれることで、通りに連続していきます。
とくに、ガラスの廊下というのは非常に透明感の溢れるもので、建物の中を巡回している人々の活動が、通りからもよく見えるような形です。
今はとくに桜が非常に美しくて、通りの魅力というのが大きく出ている時です。
インタビュアー 区切りが無いというような?
西沢氏 そうですね。
感じとしては街中に区切りが無く、敷地境界線の中に建物が納まっていて、外が都市というのではなく、境界線の隔たりを飛び越えて、都市と建築もしくは作品までが連続していくという状態を期待しているわけです。

外壁はなぜライトグレーになったのですか?

西沢氏 街の色も明るい色が多い所など、桜の印象もあって、こういうライトグレーという色になって、多くの人は白だと言うのですけれど、白だとちょっと厳しい。あとは作品が主役という所があるので、作品が強い色を持つのはいいと思うのですけれど、建物のほうがあまり強烈な色を持たないほうが、キャンバスのような状態としてはシンプルでいいのかなと思いました。

市民の方々の反応は?

西沢氏 結構多かったですね、市が主導しているプロジェクトなので、市民の関心も高いでしょうし、もしくは興味を持っていただいて、なるべく人々に受け入れられる建物になってくれるといいなと思います。

フラワー・ホースの前で記念撮影する方々が大勢いたようですが?

西沢氏 そうですね。あそこは記念撮影にはいい所だなあと僕も思いました。チェ・ジョンファ(韓国)氏の作品ですね。
馬というのは十和田市の名物といいますか、象徴的な動物でもあり、馬の作品というのはある意味感覚的に合っているのかなと思います。

桜の季節の外観
アーチスト15名が連続された個々の部屋に自分の作品を展開。野外を含めて21名のアーチスト作品が開放的な空間に点在し、街と繋がる場をつくっています。


大小15個のアートの住家。


各展示室の大きい開口部と、それをつなぐ透明な廊下が回廊をつくっています。


チェ・ジョンファ「フラワー・ホース」
高さ5.5mの馬と花のモニュメント。
十和田市は馬を象徴としています。


開館に先立ち記者会見が行われました。
 [2] 西沢立衛氏 記者会見
 
西沢氏 西沢でございます。建物の設計をさせていただきました。

市の方々、アーティストの皆さんに非常に支えていただいて、一つの満足のできる成果というものを創ることができて、今日は大変にうれしく、光栄に思っております。

簡単に建物の説明をさせていただきます。

最初にお話をお聞きしたときに、非常に興味深く感じたことがいくつかあります。
一つは、官庁街通り全体を美術館と見立てるというものですね。建築的なタイポロジー・美術館という言葉を、都市空間の大きさにまで拡大させた、そういうアイディアに一つの面白さを感じました。
もう一つは所有する作品のほとんどが交換するのではなくて、ずっとその場に置きつづけるという、永遠にあるという条件も、今まで僕がやってきた美術館と全然違っていて非常に面白く感じました。
そういうような意味で美術と建築・都市の3つに跨り、3つが融合し合うような案はないだろうかということを考えて、最終的に思ったのは、先ほど小池さんも説明して下さりましたが、『アートの家』という考え方で、展示室を独立させて、分散して、敷地の中に配置するというアイディアです。

それによって各作品のおのおのが持っている寸法的なこと、あるいは採光的な要望など色々なことが、おのおの独立して応えることができるわけです。
そういう意味では開放的なハコもあれば、大きいハコもあり小さいハコもあるという、ありとあらゆる違うタイプの形を創れるということを感じまして、分散させるということを考えました。
また、分散させることで隙間が多くなりまして、開放感が生まれます。そうすると通りにいながらにして、美術館を体験できるという。通りを歩いている人からも中の人々の様子も感じられますし、逆に建物の中を歩いていても都市が見える、官庁街通りの美しさを感じることができるという、美術空間と都市空間・建築空間ということが、連続するということが、この分棟形式にするということで可能になるのかなと思いました。

これから街の人々がこの建物を愛してくださって、市の財産の一部になって行くことを期待して設計いたしました。
記者会見にアーティストたちが参加した



屋内外に21名のアーティスト22作品が常設展示されています。
 [3]展示作品

 
マイケル・リン「無題」
十和田の伝統工芸南部裂織をイメージした作品が床に描かれた休憩スペース。
外壁にはポール・モリソンによりリンゴの木がある風景画「オクリア」が描かれています。
 
ジム・ランビー「ゾボップ」
エントランスホールの床をビニールテープで敷き詰めた作品。

 
スゥ・ドーホー「コーズ・アンド・エフェクト」
ガラスの外からも中からも眺められ、また、作品の中を通り抜けられるまさに体験できる作品。
 
森北伸「フライングマン・アンド・ハンター」
展示室の間を登っていく2体の彫刻。時間によって影が表現を追加します。

 
 高橋 匡太「いろどりのかけら」
美術館の外部を照明というメディアで作品にしています。「街に開放的な美術館」という名のとおり、美術館が閉館にむかう日没から開館する朝9時まで存在します。

【アート作品一覧】
http://www.city.towada.lg.jp/artstowada/artist/index.html
「Arts Towada」プロジェクト概要


青森県十和田市に新しく「十和田市現代美術館」がオープンしました。
十和田市現代美術館が出来た背景として、近年の省庁再編による国の事務所の統廃合や合同庁舎整備に伴う出先機関の転居などにより、官庁街通りに多くの空き地が見られるようになり、これをアートで再生しようと「Arts Towada」プロジェクトが計画され、十和田市現代美術館は、このプロジェクトの中核施設として、計画・建設されました。引き続き周辺の整備が行われ、「Arts Towada」全体の完成は平成22年を予定しています。


十和田市現代美術館 建物概要

所在地 青森県十和田市西二番町10-9
建  主 十和田市長 中野渡春雄
全体監修 ナンジョウアンドアソシエイツ
設  計 西沢立衛建築設計事務所
監  理 石川設計
監理協力 西沢立衛建築設計事務所
施  工 上北・経商事・平和実業特定建設工事共同企業体
建築面積 1,685.73平米
延床面積 2,078.38平米
階  数 地上二階
構  造 鉄骨造
設計期間 2005年7月〜2006年3月
施工期間 2006年6月〜2008年3月

 


《施設利用案内》
開館時間:9:00〜17:00 入館は16:30まで
(無料ゾーンは21:00まで)
休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合はその翌日)、年末年始
入館料:大人500円、高校生以下無料
問い合わせ:0176-20-1127
http://www.city.towada.lg.jp/artstowada/


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